ストリートチルドレンの身柄を路上から施設へ移す「レスキュー・オペレーション」は、フィリピンの政府機関の活動で、子どもの保護の目的としたものとして定義づけられています。このレスキュー・オペレーションが、子どもに与える影響について懸念を抱いたバハイ・トゥルヤンは、独自に調査を始めました。その結果、レスキューを経験したストリートチルドレンたちは、この政府の活動を「救助」ではなく、タガログ語で「逮捕」、「捕獲」を意味する「huli」だと解釈していることがわかりました。と知識を身につけるように徹底すること。

2008年、2009年バハイ・トゥルヤンは、カロオカン、マニラ、パサイ、ケソンシティのレスキューの実例についての調査研究をまとめ、その結果を「sagip or huli」(「救助それとも逮捕?」)というタイトルの本にして発行しました。599人の子どもと114人の救助者が、インタビューに応じ、600件以上のレスキュー・オペレーションのケースの記録をとり、対象となっていた都市での実態が明らかになりました。レスキュー・オペレーションの問題点は次の通りです。

 

無作為に行われている点:

 

レスキュー・オペレーションは、ストリートチルドレンの個々のニーズと環境に対して理解せず、無作為に子どもを路上から連れ去ろうとしています。

 

 

子どもたちの意志を無視して行われている点:

 

インタビュー、調査に応じたストリートチルドレンの大多数が、現在のレスキュー・オペレーションのやり方では、救助されたくないと思っていることがわかりました。

 

 

子どもたちに実害を与えている点:

 

レスキュー・オペレーションの対象となった子どもは、政府機関の保護下にある間ずっと、基本的人権を踏みにじられるような行為に直面したと証言しています。

 

 

無益である点:

 

全体的にみると、レスキュー・オペレーションは、特別な保護が必要な子どもの問題を軽減できていないばかりか、長期的な視点では、むしろ悪化させているともいえます。

 

 

調査研究から、次のようなことがわかってきました。

 

  1. レスキュー・オペレーションは、多くの公共事業機関のもとに実行されています。各事業機関の間では連携がとれておらず、明確な目的を共有していません。説明の場が持たれておらず、研修の機会も不足しています。子どもの保護、救出に関わる各機関の役割を明確にして、関わる人すべてに適切な研修を行う必要があります。

     

  2. 一貫性や明確な指針がなく、法律に違反するような行為も行われています。

     

  3. レスキュー・オペレーションは、たびたび無作為に行われます。その理由は、子どもの保護というよりは、開発工事の邪魔だから、観光客の目障りになるから、といった別の理由からです。子どもにとっての利益は、二の次になっています。

     

  4. レスキュー・オペレーションは、目的が不明瞭なことが多く、それゆえ子どもたちに不適切な干渉を行っているといえます。これは無益で犯罪にも近い行為で、子どもの心にトラウマや傷痕を残しています。

     

  5. レスキュー・オペレーションは、現在、カロオカン、マニラ、パサイ、ケソンシティで行われているものの、虐待や搾取から子どもを守ることができていません。そればかりか、子どもをこれらの危険にさらしたまま捨て置くケースもあります。レスキュー・オペレーションが実行される過程でも、子どもの権利は踏みにじられています。

     

  6. レスキュー・オペレーションの手順についてのチェックが行われていないため、十分な連携がとれず、子どもを取り巻く問題についての認識も不足しています。個別の訴えがあっても、子どもを本当に救助するためには、生かされていません。
  7. 現在行われているレスキュー・オペレーションが、ストリートチルドレンにとって、無益な干渉に終わっているのは、根本的な原因について目を向けていないためです

 

最終的に、私たちは、この調査研究から、3つの都市で、またフィリピン全域でストリートチルドレンの支援について改善するための総合的な提案をかかげました。その要約は次のとおりです。

  1.  レスキュー・オペレーションを実行するにあたり、法律や政策を子どもの権利を基本とした、子どもに親しみやすい、わかりやすいものに改正すること。
  2.  ストリートチルドレンのための支援策は、予防、保護、生活の再建、更生、根本的な原因の解決に焦点をあてて 構成すべきであること。また、子どもが最善の利益を受けられるように、最大限の考慮をすべきであること。
  3. 子どもの救出、保護に携わるすべての人が、適切なスキルと知識を身につけるように徹底すること。

     

この調査研究のメディア情報については、 Philippine Daily Inquirer ANU news 

で読むことができます。

 

 

リポートはこちらからダウンロードできます。 here

 

この調査研究について、よりくわしい情報をお求めの方は、バハイ・トゥルヤンまでメールでご連絡ください。 info@bahaytuluyan.org

この調査研究については下記の映像も公開しています。どうぞご覧ください。